05年9月23日(土)
遊行寺境内会場


盆踊りプロジェクトが動き出した、05年9月。

市民に事業を広くアピールし、将来をうらなう「遊行の盆 プレイベント」が開催されました。手探りの中での開催でしたが、結果はなかなかの盛況。収穫の多いイベントとなりました。

実況取材レポートでお楽しみください。

 

名  称  地域資源活用事業プレイベント「藤沢宿と遊行の盆」
日時・場所  05年9月23日(土)  遊行寺境内
主 催  藤沢商工会議所 地域資源活用事業推進委員会

時 間 内 容
16:30~16:55  オープニング 西富ばやし
17:00  開会 ~あいさつ~
17:20~18:30  第1部 市民民踊団体による踊りの披露
 遠藤盆踊り  アジサイ音頭
 瓜生野盆踊り  千葉港音頭
 ささら盆踊り  平成音頭
 炭坑節  鹿児島おはら節
 鹿児島おはら節  コキリコ節
 神奈川おどり  藤沢ばやし
 六会ふるさと音頭  きよしのズンドコ節
18:30~18:50  第2部 遊行寺踊念仏と念仏踊り
 遊行寺の踊念仏
 藤沢市内の念仏踊り  ①葛原ささら踊り
 ②ささら盆踊り
19:10~19:20  第3部 フィナーレ 藤沢シャンシャン踊り
19:20  閉会

 

プレイベント実況レポート

 

16:30 オープニング

9月23日、お彼岸の中日。プレイベントの当日はここちよい秋晴れとなりました。

藤沢橋のあたりまでくると、すでに会場の遊行寺に向かう人の波が。お彼岸なのでお墓参りの人もスライドしているのでしょうか。

参道道をのぼって境内に入ると、中央には舞台が立ち、イベント会場はなかなか本格的な設営。屋台も出て、早くもけっこうな人出です。

境内では、ちょうどオープニングイベント「西富ばやし」が始まっていました。力強い太鼓と華麗なお囃子にびっくり。「ひょっとこ」も出て、会場を楽しませます。

17:00 開演

プレイベントはじまる
夕方の光の中、プレイベントがはじまりました。
まずは市長、市議会はじめ関係者から期待をこめたあいさつが続きます。中には、「わたしは、踊念仏が盆踊りの原点であるということを初めて知りました。」

こんなストレートなメッセージもあって、かえって新鮮な感じがしました。

言われてみれば、”踊り念仏は、盆踊りの原点である”というのは、けっして証明されているとは言い切れない、けっこう奥の深い問題なのではないでしょうか?

遊行フォーラムS氏いわく「誰も否定はできまい」(笑)。
それはそうですが、ここはひとつアピールのネタとして展開してみたい。例えば民俗芸能や中世史の専門家に突撃インタビューして、ホームページに連載しても面白いかもしれません。

続いて、74代遊行上人が登壇。”遊行寺を市民に開かれた寺にせよ”との一遍上人の夢告(?)があったそうです。ユーモアあふれるあいさつでした。

しかし屋外イベントで、全員合計20分の”ごあいさつ”は、やっぱり少し長すぎる感じ。
オープニングのお囃子の盛り上がりを、第一部の開演にスムーズにつなげたいところです。

17:20 第1部 「市民民踊団体による踊りの披露」

民舞団体大活躍
プログラム第1部は、市内の民踊団体が勢ぞろい。

各グループとも、揃いの浴衣で自慢の踊りを披露します。曲は、戦後につくられた新作盆踊りが中心です。

地元にはなつかしい「神奈川音頭」をはじめ、「平成音頭」のようなポピュラーな踊りが踊られていきます。「鹿児島おはら音頭」や「コキリコ節」などの全国の踊りも、民踊グループの重要なレパートリー。「きよしのズンドコ節」も登場しました。

思い出を重ねて踊る
新作踊りのラインナップの中で興味深かったのは、藤沢地元でつくられた「善行音頭」「六会ふるさと音頭」などのいわゆる「ご当地音頭」です。

カンタンな踊りの由来がアナウンスされるのですが、昔の小田急線の新駅開設の申請の苦心などの歴史的背景や、その際に踊りが地域を盛り上げるのに一役買ったことなど、当時の市民の思い出のエピソードをちりばめ、ノスタルジーをくすぐりながら踊ったのはとてもいい演出だったと思います。

出演された民舞グループの方々も、”たくさんの市民の前で踊ることができてよかった、感動した”という声を寄せてくださいました。いまの藤沢の盆踊りを支える皆さんです。

それから、子供が一緒に踊ったグループがかなり観客を楽しませていました。10~20代の若いみなさんにも、もっと地域の踊りに参加する機会を持ってもらいたいものです。

「篝火」は大成功
つるべ落としに日が暮れ、あたりが暗くなってきたころ、篝火に火が入りました。

燃えさかる2台の篝火の向こうに、本堂のシルエットが大きく浮かび上がります。会場にもぐっとフンイキが出てきました。スタッフの方に尋ねてみると、この篝火は遊行寺の「薪能」の時に使うものを転用したとのこと。ナイスアイデアでした。

そういえば、06年夏の招聘を打診している「西馬音内盆踊り」も、篝火をめぐって踊る盆踊りですね。

18:30 第2部 「遊行寺踊り念仏と念仏踊り」

遊行寺の踊り念仏
第2部が始まりました。こんどは、藤沢の伝承系の念仏芸能シリーズです。

トップバッターは「遊行寺の踊り念仏」。白い和装にたすきのいでたちの保存会の方々が、手鉦を叩きながら古風な踊りを披露します。踊り手全員が念仏を口ずさみ、舞台上ではリーダーが太鼓で全体を指揮します。

この踊り念仏は、一遍上人が踊り念仏を始めたという長野県佐久の跡部(あとべ)に伝わる踊り念仏を習い、藤沢の保存会の方々が継承されているものです。復活は30年以上も前のことですが、実はつい最近まで見たことがありませんでした。

今回の上演は、たくさんの市民のみなさんに遊行寺の踊り念仏を知ってもらうよい機会になったのではないでしょうか。宗教行儀としての緊張感を感じさせる踊りに、来訪者のみなさんも真剣に見入っているようでした。

屋台は子供天国
会場の人出もそろそろピークを迎え、かなりの賑わいとなりました。
もっともその何割かは、浴衣を着た民舞の出演者の市民の皆さんです。自分で出演して踊ったあとは、観客となって楽しむ。こんな”参加”の仕方も、なかなか楽しくていいですね。

家族連れで出かけてきたのでしょうか、会場には小学生や中学生の子供たちの姿もずいぶん見かけました。彼らのお目当てはもちろん「屋台」。お面におもちゃ、金魚すくいにバナナチョコレート。突然のお祭りに、子供たちも大喜びの様子です。
これもまた、盆踊りの正しい姿の一つでしょう。

圧巻の「ささら踊り」
踊り念仏に続いて登場したのは、藤沢の古い盆踊りの代表である「葛原のささら踊り」(葛原)と「ささら盆踊り」(遠藤)です。「ささら」という独特の楽器を鳴らしながら踊る独特の盆踊りで、かつでは同じ系統の盆踊りが県下に広く分布していました。

音頭の皆さんが舞台に上り、唄が始まると、それまでの会場の雰囲気が一変しました。

カセットテープではないナマの歌声が境内に澄みわたり、素晴らしい効果をもたらしたのです。歌詞は藤沢に伝来の古い盆踊り唄。踊り子も「ささら」をリズムよく振りながら、次第に調子にのってきました。

かつて盆踊り盛んなりし頃の藤沢の夏の光景が、タイムスリップしてきたかのような一瞬です。

「ああ…この唄は聴いたことがある。」

目の前でじっと盆踊りに見入っていたお年寄りが、ふいにつぶやきました。かなりのご高齢のご様子でしたが、音頭に耳を傾け、一生懸命思い出しながら、少しづつ歌いはじめました。

しばらくすると、歌詞も唄も、音頭の歌とぴったり一致してきました。
満足そうなお年寄りの笑顔。周囲の人たちも、ちょっと感激。

私も改めて再認識させられました。長い年月を経て地域の人々に歌い継がれ、記憶の中に刻まれてきた伝承の盆踊り。これこそ、何物にも換えがたい「地域の宝」なのです。

19:10 フィナーレ

みんなで踊る「シャンシャン踊り」
あっというまの2時間が過ぎ、最後のプログラムになりました。

「藤沢シャンシャン踊り」は以前地域で作られた参加型の盆踊りだそうです。第一部・第二部に登場した踊り団体の皆さんが総出演。葛原・遠藤の保存会の皆さんは、手踊りの邪魔になる「ささら」を観客の人たちに預けて踊りの輪に加わります。

みんな交じりあって、すぐに大きな踊りの輪ができました。「会場の皆さんもぜひ踊りの輪にお入りください」とアナウンスも入ります。

会場との一体感
フィナーレにふさわしい、賑やかな輪踊りとなりました。

スタッフのみなさんも一休みしながら満足げな表情。お疲れ様でした。
隣には、保存会の方から預けられた「ささら」を振って大喜びしている観客の方。
大イチョウの下には、ヤキソバをほおばりながらのんびり見物するお坊さんたち。

手探りで始めたプレイベントでしたが、最後はどうやら出演者・観客・スタッフに自然な一体感がうまれたみたいです。けっして派手ではありませんが、これもイベントの一つの成功のかたちでしょう。

とにかく、藤沢市民のみなさんがこんな盆踊好きだったということを確認できたのは、とても大きな収穫だったと思います。来年の本番に向けて、また「盆踊りの原点」のまちづくりに向けて、大きな一歩になったのではないでしょうか。

何回かのアンコールおどりを楽しんだ末に、プレイベントは無事終了しました。

遊行の盆あゆみ トップ