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初日(7月25日)レポート

遊行ばやしコンテスト、皆の趣向を凝らした踊りで盛りあがり。

初日の動画です

今年もやってきた、遊行の盆!
7月25日(金)、第3回藤沢宿・遊行の盆が開幕。炎天下のサンパール広場では、まちかど音楽祭に引き続き15時過ぎからフラのお披露目。とにかく暑く、水撒きなどして、ようやくスタートできました。しかし、この暑さにもめげないパワーが、フラ躍進の原動力だったかもしれません。

フラに続き、遊行ばやしにのって始まったのが、浴衣コンテスト。遊行の盆で浴衣をきたことがきっかけで着付けを習ったという方もいらっしゃり、盆踊りが浴衣の魅力を知る上でも一役かったようです。ここで、まず、フラチーム、1位2位を受賞。

17時から、ファミリー通りでは、生歌・生囃子による遊行ばやしが踊られました。以前、藤沢市の民謡民舞研究発表大会で、冨田房枝さんが舞台で演じたのを聞いたことがありましたが、屋外でみるのは初めて。和楽器中心の音は、伝統の盆踊りに近い響きがとても魅力的でした。このスタイルで踊られる機会も、時々、あると嬉しいなと感じます。

天気予報では、夕方くらいから激しい雨が予測されており、空模様がとても気になっていましたが、
18時半、天候に恵まれた状態で、本日のメイン、遊行ばやしコンテストが始まりました。

特別参加の市議会議員連をスタートに、21団体がコンテストに参加。遊行通りの北から南へ次々と流し踊りが続いていきます。小道具を使ったおどり、踊りのフォーメーションの工夫、仮装、掛け声、など、思った以上にそれぞれの連が工夫を凝らしていることに驚きました。正直いって、20もみたら、飽きてしまうだろうと思っていましたが、1時間はあっという間。皆さん、本当にありがとうございました。

19時半からは、秋田より3年連続で登場の西馬音内盆踊り。本場でもこのような通りで行われる踊りなので、これまでのステージと比べても、よりその雰囲気の本領が見られたような気がします。

コンテストの結果は、20時10分ごろ発表となり、フラチームで編成された、来海組が最優秀となりました。市民による覆面審査の結果です。しかし、コンテストの結果のみに一喜一憂するのは、盆踊りの心にはそぐわないと思います。踊る人も見る人もみんなで楽しむのが、盆踊り。それぞれチームそれぞれがよかったのももちろんですが、会場全体の雰囲気や、踊りのエネルギー、すべてのチームの協力で作りあげられたものだと思います。

踊り手側には、老若男女が集い、踊りが皆のものになりつつあると感じたのですが、観衆は年配の方が中心。お年をめした方でも楽しめるところが盆踊りのよいところなのですが、若い方にもみていただきたいし、そういった広がりが今後の課題かと考えます。

いずれにしても、年々市民に近づいていっていることは素晴らしく、主催者、裏方で支えてくださった方々にも感謝したいと思います。

そして、遊行の盆が始めて街、通りに出たこともとても重要な要素だったと考えます。

北口遊行通りと南口ファミリー通り、一見ただの商店街にみえますが、実はこの2つの通りに共通する
ことがあります。いずれも、江戸時代以来の「江ノ島道」旧道が元だということです。江ノ島道は、遊行寺の橋の前あたりで、東海道と分岐し、藤沢宿と江ノ島を結んでいました。現在でも、江ノ島道跡をたどって藤沢から江ノ島に散歩することも可能です。細くうねった形が旧道をしのばせます。
江ノ島道については、こちらをご参照ください。

わたしゃ江ノ島 浜風そだち
潮の満ち干で 恋を知る
片瀬船頭とキンピラゴボウ
色は黒いが 味がよい
相州片瀬の 戻りの松は
松は枯れても 名を残す
大山帰りの 菅笠かしげ
あの娘いるかと またのぞく
逢いはせぬかよ 東海道で
一夜どまりの 旅の人
明日はお立ちか お名残り惜しや
笠に涙の 雨が降る

遊行ばやしの一節。江ノ島~東海道のことがうたいこまれています。
この中に出る、西行戻りの松は江ノ島道にあり、そして、その近くには、一遍上人が踊り念仏を行った
といわれる片瀬地蔵堂あとがあります。ちなみに、大山道は、現在の四谷交差点そばに分岐点が
あり、今でも鳥居が残っています。遊行通りにある庚申堂は江ノ島方面から藤沢を訪れた若き日の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が訪れた場所でもあります。(小泉八雲 日本瞥見記より)

遊行寺のいろは坂を下った江戸の人たちは、江ノ島道、つまり現在の遊行通り、ファミリー通りを経て
江ノ島に向かったともいえます。26日に流し踊りが行われるいろは坂とこの日の通りは、そういった
縁でつながっているのです。それは、一遍の地蔵堂跡と遊行寺を結ぶ道でもあります。

遊行ばやしが藤沢の風物で編まれた踊りであること、そして踊り念仏をゆかりにして作られた遊行
の盆、その踊りが今回の2つの通りに出たことは、そんな大きな意味合いも含まれていると、私達
は感じました。

遊行の盆、明日は遊行寺を舞台とした、ステージが行われ、いろは坂を下る越中おわらも登場します。どんな様子になるか、とても楽しみです。



炎天下でのフラ。あまりに暑いため
地面に水まき。これが賞を次々獲得のフラ
チームデー?の幕開けだった。


踊りゆかたコンテスト。
フラチームが上位を獲得。



ファミリー通りでは、生歌での湘南藤沢遊行踊りで魅了。



本日のメイン、遊行ばやしコンテスト。



みんな本当にそれぞれが
工夫を凝らしていました。



優勝は、フラメンバーで構成された来海組。すばらしいおどりありがとうございました。



西馬音内盆踊り登場。いつ見ても
ため息がでる巧さ。



通り一杯に皆で遊行ばやし
を踊りました、感無量。

2日目(7月26日)レポート

藤沢のまちと舞台を結ぶ「流し踊り」

2日目の動画です
夏空高くそびえる遊行寺本堂。

満席の観衆の間をぬって、つぎつぎとステージに登っていく踊り手たち。

踊り手の列は「いろは坂」から遊行寺門前に連なり、さらにその先はきのう「遊行ばやしコンテスト」会場となった藤沢のまちが広がります。

盆踊りのふるさと・藤沢のまちと、盆踊りの原点・遊行寺の舞台が、観衆の目の前で結ばれた瞬間です。

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熱気の中の会場設営
初日(25日(金))の興奮冷めやらぬ、26日(土)の昼過ぎ。熱気のたちこめる遊行寺境内では、流れる汗を拭いつつ忙しく立ち回る出演者やスタッフの姿。きょうもまた長くて”熱い”一日となりそうです。

舞台リハーサルがはじまりました。「遊行ばやし」につづいて、子どもたちの踊り、そして念仏踊り。踊り手たちの表情には緊張はありません。むしろ、3年目の自信のようなものがそこはかとなく感じられます。今年もこの遊行の盆の舞台で、思い切り楽しんでもらえればと思います。



いっぽう舞台脇では、会場を盛り上げてくれる出店も準備に余念ありません。なにしろこの暑さ。「かき氷」のお店の前には、涼味を求めるファミリーの長い列ができました。

「2日目」開幕
4:30過ぎ。ステージでは、最初の出演となる「西富ばやし」と「きやり」が準備に入ります。藤沢を代表する貴重な民俗芸能ですが、毎年遊行の盆には必ず出演し、巧みな技とユーモアで会場を盛り上げてくれます。

ようやく暑さもゆるみはじめたPM5:00。「第3回遊行の盆」2日目の開幕が宣言されました。
今年も観客席は満員御礼です。

最大の見せ場・流し踊り
境内が「きやり」の美声に酔いしれているのと同じ頃。いろは坂には、スタンバイを終えて今や遅しと出番を待つ踊りチームの姿がありました。2日目最大の見せ場となる、境内ステージへの「流し踊り」です。

踊り手は、初日の「遊行ばやしコンテスト」表彰団体のみなさん。しかし、彼らは単に表彰されたから来ているわけではありません。昨日、遊行の盆は初めて藤沢のまちに進出。南口「ファミリー通り」で湘南藤沢遊行踊りが披露された後、北口「遊行通り」で「遊行ばやしコンテスト」が盛大に開催されました。参加してくれた総計21団体のみなさん、声援を送ってくれたまちの人たち、そして遠くから来てくれた見学の方々。そのすべての人々の思いと感動を、遊行の盆の原点であるこの遊行寺境内舞台へ届けるという大切な役目を託されているのです。



スタッフの合図で、流し踊りスタート。

先頭のグループが掛け声も勢いよく踊り始めると、流し踊りの各団体が一斉にいろは坂を登りはじめました。会場は拍手と歓声で踊り子たちを迎えます。シックな衣装や、ひょうきんな仮装、かわいらしいコスチューム。色とりどりの装いのグループが観客の間をつぎつぎと通り抜けていきます。ステージの上で自慢の「遊行ばやし」をしばし披露。笑顔いっぱいの踊り手たちの表情からも、きのうの街中での踊りの熱気と感動がはっきりと伝わってきました。


流し踊りのあとは、遊行の盆実行委員長、藤沢市長、市議会議長・議員、遊行第74代他阿真円上人の挨拶。そして盆踊りの原点・踊り念仏が一遍上人像の見守るステージでおごそかに披露されると、次はいよいよステージでの創作踊り「湘南藤沢 遊行おどり」です。



遊行の盆の自慢 「生唄」の盆踊り
舞台を彩る6種類の創作踊りは、藤沢の誇る民謡歌手・富田さんらの歌と太鼓のナマ演奏をバックに踊るという、とてもゼイタクな踊りなのです。”盆踊り本来の伝統を大切にしたい”という「踊り創作部会」の提案を受け、実行委員会のご努力によって例年この”ライブ盆踊り”が維持されています。


もちろんライブならではの難しさもあります。一瞬ではありましたが、立ち上がりの部分で拍子が取りにくいシーンがありました。でも、逆にこうした空気こそが、CDやテープの盆踊りでは決して味わうことのできない”ライブの魅力”でもあるのです。すぐに拍子を取り戻すと、あとはいつも通りの自信に満ちた踊りで観客を惹きつけていきました。

おわら&西馬音内の競演
あまりの人気のため、地元ではじっくり鑑賞するのも難しいといわれる越中八尾の「おわら風の盆」と秋田「西馬音内盆踊り」。2つの町は、今年もまたよりすぐりの踊り手・囃子方を藤沢へ送ってくれました。

舞台は再びいろは坂。上からは越中おわら風の盆、そして下からは西馬音内盆踊り。日本の2大人気盆踊りがいろは坂を交互に踊りぬけるという、夢のようなプログラムです。提灯のあかりに浮かぶ優美な踊り子の姿に「北のひとはみんなきれいね」とギャラリーからもため息。


さらに舞台では、待ちかねた境内の観衆を前にそれぞれの盆踊りの魅力を余すところなく披露してくれます。楽器演奏のみによる珍しいパフォーマンスなど、さすがのクオリティです。

今年の演出は、最後に踊り子たちが観客席の中へと降りてくるというもの。踊り子たちの呼吸まで伝わるような「近さ」に、観衆も大いに満足。踊りの終わった後も、ふたつの盆踊りに対する拍手が鳴りやみませんでした。

フィナーレ、そして…
数々の熱演に沸いた今年の遊行の盆も、いよいよ終わりが近づきました。
ステージに勢揃いした実行委員会のリーダーたちが、無事終了を祈り、観衆へも協力を呼びかけます。そしてプログラムの最後は、もう観衆にもおなじみとなったフィナーレ「みんなで楽しむ遊行ばやし」。舞台の上に駆け登る観衆と踊り手たちが一体となり、熱狂のうちに今年の遊行の盆も幕を下ろしました。



観衆が去った後の会場では、掃除と撤収。2日間の華やかな舞台と滞りのない進行は、スタッフや大学生をはじめたくさんの方々に支えられてのことであったことが改めて思い起こされます。

遊行の盆のこれから
遊行寺境内舞台からスタートした第1回。「流し踊り」への展開のきっかけをつかんだ第2回。第3回目の今年、遊行の盆はついに藤沢のまちの中へ飛び出し、そして原点へと戻ってきました。プレイベントから数えること4年。一歩ずつではありますが、毎年着実にパワーアップしてこれたのは幸運であり、また誇るべきことであったといえます。

今後の課題や方向性も少しずつはっきりしてきました。
踊り念仏に創作盆踊り。「越中おわら」や「西馬音内盆踊り」など全国の有名盆踊り。ジャズダンスやフラなど、出演者の多彩なバックグラウンド。挨拶の中でも指摘されましたが、遊行の盆はさまざまな盆踊りを楽しめる場になっています。やがてこの場が盆踊り文化の拠点・発信基地となり、日本の盆踊りを盛り上げていく。それが遊行の盆、そして藤沢に期待される大きな役割なのではないでしょうか。一方、今年藤沢のまちの中に印した第一歩をさらに進め、市内各地域の盆踊りとの連携・相互活性化という方向性も見えてきました。

こうした取り組みを通じて、藤沢が本当の意味で「盆踊りのふるさと」に育っていってほしい。そんな気持ちにさせてくれた「第3回・藤澤宿遊行の盆」でした。

本レポートの作成にあたり藤沢商工会議所のご協力を頂きました。どうもありがとうございました。

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